わけありくんを護ります
確かに、満面の笑みは一緒にいてなかったかもね。でも、好きとか簡単に言うものじゃないでしょうに。
「……そう。それは良かった」
なんだか照れくさくて、ついそっぽを向いてしまう。もう、比江島くんは慣れっ子だから、そんな私を見てすぐ笑うだけだけど。
「あ、このおかゆ俺が作ったんですよ。レシピ見ながらだったから時間かかりましたけど」
「え?」
比江島くんの手作り……
「俺、いつも情けないとこばっかですけど、看病はちゃんと出来てるでしょう?」
「……うん。そうだね」
「わぁ素直。ってことはまだ下がってない証拠ですかね」
すぐさま、比江島くんにムッとした顔を見せれば、はははっと笑われた。
おかゆを食べ薬を飲んだ後、再び横になると比江島くんはかしこまったように座り、私の手を握った。
「……凛さん、いつもありがとうございます」
「ん」
「近いうちにヨイヤミ……ひいては俺の依頼が解決に向かうんだと思います」
そのために頑張ってるんだもの。
「俺に出来ることは少ないですけど……凛さんが困った時くらいはこうして助けることができたらなって。だから、ピンチの時は俺に任せてくださいね」
「私がピンチになるなんて、なかなかないと思うけど……」
「この先、なにがあるかわからないですから」
「まぁ……分かった、って言っとく」
「はい」
──まさかこの後、手をつないだまま寝てしまうなんて、思わなかったけど。
おかゆも、看病も
……その言葉たちも、本当は全部嬉しいの。
私は素直じゃないから、言葉にできないけど──