わけありくんを護ります



「──どう?」

次の日、起きた途端に渡された体温計の結果を待ちをしていた。

「……ばっちり治りましたね。平熱です」

「よか──」
「でも!今日は、ゆっくりしてください。無理は禁物です。ぶり返すこともありますから」

「えー……」

ゆっくりしてって言葉、今はあまり好きじゃないのに。
というか、私が熱だした昨日あたりから、比江島くん、ほんのちょっとだけ強くなってない?……私の気のせい?

「えーじゃありませんよ。だめなものはだめ」

ほら。

今までなら、あまり言ってこない感じだったのに。

「分かった。……ならおとなしく過ごそうかな」
「はい、そうし……って、それ頭全然休まらないじゃないですか」

ベッドに腹這いになって、安全ノートを見直す私に、比江島くんは体温計をしまいながら目を細めた。

「ゆっくり、ノートを見るの。体が休まれば十分でしょ」
「そうかもしれないけど……」

その続きも言いたかったのかもしれない。でもあきらめたのか、比江島くんは何も口にはしなかった。
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