わけありくんを護ります
気にはなるけど、今は静かに考えたいことがある。
だから、悪いけど再びノートへと集中。
預かった頃に比べて、安全ノートの中に私が地道ちに書き足した情報を読んでいく。
かまいたちのこともだけど、
この前のリスニングの時のノイズの言葉もくり返し見返して、もう一字一句間違わず覚えてしまった。
ヨイヤミと分かっていても、あちらからは来ないし……かと言って、私はヨイヤミの居場所どころか、総長たちも分からないまま。
比江島くんがヨイヤミについて書いた一番の情報は、比江島くんを追ったとされる2人の見た目。
あのバットくんは、絵的に違うようだけど。
「……っくしゅ」
「凛さん……」
机に向かっていた比江島くんが、また目を細めてこちらを見る。
「なに。ちょっとむずむずしただけだってば。ぶり返しじゃないよ」
「軽はずみ」
比江島くんは、自分の椅子にかけていた羽織を取ると、私の背中に投げた。それを片手で受け取る。
「着ててください。かけるだけでもいいですから」
……断ったら断ったで、また控えめなおしかりをくらいそうだから、ここはおとなしく言うことを聞いとこっと。
羽織を広げて肩にかければ、比江島くんは満足そうに笑う。
その顔を見てからまた、私はヨイヤミのことを考えた──