わけありくんを護ります
──放課後、掃除当番の比江島くんを私は座りながら眺めていた。
「どうですか、まるで新品の黒板みたい!」
黒板消しの二刀流をして、隅からすみまで黒板をきれいにした比江島くんは、ひとり満足そう。
はやく帰りたいんだけどな。
「もう十分でしょ。早く帰る支度を……」
大半が帰ったのに、複数の走る足音が近づいてきて、反射的に比江島くんのそばにいった。
「いた、りんりん!」
「芝桜!!」
焦ったように私たちの教室をのぞいた松野くんと梅木くんは、そのまま足を止めず中へ入ってくる。
教室に来るなんて初めてじゃ……
「どうしたの?……またお重とか?」
聞けば、松野くんはいつぞやの時と同じく私の腕をつかんだ。
「ちげぇよ。ここじゃ話せねぇ……来い。後、てめぇもだ比江島」
「えっ俺も?」
「ほら島くんはやく!」
荷物を置いたまま、私と比江島くんは訳を聞く間もなく教室の外へ。