わけありくんを護ります
私は力なく床にへたりこんだ。
なんか構図が少し前と逆になってる……
「だ、大丈夫ですか?手、貸します?」
「……だいじょうぶ」
どうしよう。
1人の自由気ままな時が、私にはない。
私が2階の男子寮の部屋に移ることはまず論外。
喜八さんに何を言ってもだめ。
父に文句を言ったって、
むしろ『出来ないのか?』と言われるのが落ち。
父が比江島くんに同室だと言ったなら、
この状況に順応してやろうじゃないのっ。
そうだよ、うだうだ言うよりやってのけて報酬のお小遣い、たっぷり値上げさせてやる!
そうと決まればやることは──
私は、段ボールをまとめるのにつかったビニールヒモを長めに切って数本を束にして結んだ。
「っと。こんな感じでいいかな」
「……何してるんですか?」
「境界線」
手短に答えお構い無しに私は束のヒモを部屋の真ん中に伸ばしていく。