わけありくんを護ります
「じ、じゃあ、もしこのテリトリーを越えたらどうするんですか?」
「どうするって……」
部屋分断することにこだわったから、ペナルティ的なことは頭になかった。
すぐに考えないと──
考え込む私の前に比江島くんは立ち上がり、私たちは線をはさんで向かい合う。
「なんも考えなしに、漠然と半分にしただけでどうにもならないようような……」
多少考えが甘かったことは認めるけど、さっきまで泣きそうだった男の子に言われたくないやい。
「じゃあ……越えたら一回ごとに10……100円!」
「お金ですか。なら俺が100円置いたら通過できるじゃないですか」
お互いに傷つかない方法は今はこれしか思い付かなかったのに。
すぐ言い返され、言葉に詰まる。
……でも、まずこっち側に来たってすることなんかないでしょ?