わけありくんを護ります

「じ、じゃあ、もしこのテリトリーを越えたらどうするんですか?」
「どうするって……」

部屋分断することにこだわったから、ペナルティ的なことは頭になかった。
すぐに考えないと──

考え込む私の前に比江島くんは立ち上がり、私たちは線をはさんで向かい合う。

「なんも考えなしに、漠然(ばくぜん)と半分にしただけでどうにもならないようような……」

多少考えが甘かったことは認めるけど、さっきまで泣きそうだった男の子に言われたくないやい。

「じゃあ……越えたら一回ごとに10……100円!」
「お金ですか。なら俺が100円置いたら通過できるじゃないですか」

お互いに傷つかない方法は今はこれしか思い付かなかったのに。
すぐ言い返され、言葉に詰まる。


……でも、まずこっち側に来たってすることなんかないでしょ?
< 49 / 208 >

この作品をシェア

pagetop