わけありくんを護ります

「そ、そうでした。おはようございます。芝桜さん」
「……それ」
「はい?」
「呼ぶの、下の名前でいいから」

芝桜、って呼ばれるとなぜかどうしても2つのおかたい顔が浮かぶの。

父とじいちゃんの。

「いいんですか?それならそうしますけど。後、その……」
「何?」

起きてベッドの上で、もじもじし出す比江島くん。

「着替えたいんですけど……」
「それは私も同じ」
「ですよね!」
「だから、着替える時は壁向いてよ?見たら気絶させるから」
「気絶!?」
「見たらって言ったでしょ!」

ほんと、朝からさわがしい。
だけど、これが日常になっていくんだから早く慣れないと──
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