無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
その事実に碧人は苦笑する。
 
榎本は子どもの頃から戦闘機が好きで、その延長で航空自衛隊員を目指したという筋金入りの戦闘機好き。

毎日戦闘機を間近に見られるだけでなく操縦できることに最高の幸せを感じているらしい。

とくにアグレッサー部隊に配備されている派手な戦闘機はダントツ一位のお気に入りで、

今も原色まばゆい機体を瞬きも忘れ見入っている。 

飛行訓練を無事に終えたばかりで気が高ぶっているのもあるのかもしれない。

「本当、相変わらずだな」

碧人の言葉に榎本はにんまり笑う。

「相変わらずカッコいいから仕方がない」

打てば響くように返ってくる答えも相変わらず。

「まあ、いいけどな」

蓮人は肩をすくめクックと喉の奥で笑った。

「だけど俺は見てるだけで満足。あれに乗るのは桜井に任せるよ。この間のアグレッサーとの訓練に選抜されて結構いい成績だったんだろ?」

「いや、まだまだ全然だ」

碧人は二機目が着陸した滑走路を眺めながら、すっと表情をひきしめた。

アグレッサーによる巡回教導の際に戦うメンバーのひとりとして選ばれ対戦したが、そこで自身の実力の未熟さを思い知らされた。

戦闘機同士の接近戦、ドッグファイトではアグレスが用意した攻撃のチャンスを生かせず、後部席に乗った時にはアグレスの高度な操縦技術を見せつけられて言葉を失うほど驚いた。

それで火が点きその後の訓練に熱が入ったのがよかったのか、評価は悪くなかったらしいと上官からは聞いている。

「うちのエースパイロットがまだまだ全然だったら、他の隊員はそれこそアグレッサーへの道は遠いな」

「俺も遠いよ。まあ、あきらめるつもりはないけどな」

ただアグレッサー部隊に入りたいというわけではなく、一員に選ばれるにふさわしい飛行技術を身につけたい。

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