無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
その考えに賛否があるかもしれないが、自分の飛行技術を測る物差しのひとつとして、アグレッサー部隊の一員に選抜されたいと考えているのだ。
 
もともとドルフィンライダーを目指したのは、子どもの頃に航空祭で見た展示飛行に感動したのがきっかけだが、入隊してからは美月に見てほしいという思いだけで訓練に励み飛んでいた。

けれど立場が変わった今、気持ちに大きな変化が生まれた。

とくにスクランブル発進を経験してからは、確実に変化した。

国を守ることは大切な人を守ること。

自分が守っている空は大切な人が暮らしている空につながっていて、結果的に大切な人を守っている。

そう思うようになってからは『まだまだ成長したい』心の中ででそう繰り返しながら、訓練に臨むようになった。

美月と再会し蓮人の存在を知ってからは、いっそうその思いは強くなった。

愛する人を幸せにしたい。その気持ちがモチベーションとなり、任務に就くようになったのだ。

「そういえば、書類は出したのか?」

榎本がふと思い出したようにつぶやいた。

お気に入りの機体の鑑賞を終え満足したようだ。

「今出してきた。色々あってややこしかったけどな」

「そんなこと言いつつお前、笑ってるぞ。まあ、初恋の相手と結婚だもんな。笑いがとまらなくて、結婚後の書類の山も大したことじゃないよな」

碧人の背中を軽く叩き、榎本は顔をくしゃくしゃにして笑っている。

その笑い方も蓮人に似ているような気がして、碧人も肩を震わせ笑う。

「なんだよ。ほんとに笑いが止まらないみたいだな。いいなー、新婚。一度会わせてくれよ。例のカフェで働いてるんだろ? どんな感じなんだ? かわいい系? 美人系?」

「どうだろうな」

興味津々の榎本に、碧人は曖昧に答えた。

美月はもともと美人だが、蓮人と一緒に笑い声をあげる姿はかわいらしい。
 
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