無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
慣れた動きで碧人の首に手を回す蓮人の安心しきった笑顔に、美月は胸に込み上げてくるものを感じた。

人混みをかき分けサンタに向かっていくふたり。

後ろ姿を見ているというのに、ふたりのキラキラした笑顔が見えるようでぐっとくる。

ちょうど一年前の今頃は、職場に居場所を見つけられない中でも蓮人のためにとギリギリのところで踏ん張っていた。

それが小松への異動をきっかけにして新しい、それも今までで一番のやりがいを感じられる仕事に出会った。

そして碧人との再会。

一年前には想像もできなかった幸せを手に入れて、夢のようなクリスマスだ。

カフェでの時間を日々のルーティンのように楽しむ常連さんや、夢を叶えるために勉強もバイトも全力投球の学生たち。

それに子ども食堂を訪れる子育て中のママやパパたちからも、パワーを受け取っている。

そのすべてが美月と蓮人の人生を後押ししてくれる味方のようで、妊娠がわかって以来背負っていた重荷を下ろし、ようやくしっかりと息ができるようになった。

できることならこのままカフェでの仕事を続けて、さらに居心地のいい空間をつくってみたい。

そして今度は自分が誰かの味方になりたい。

そんな気持ちがふつふつとわき上がり、日に日に大きくなっている。

とはいえ美月は企業のいち社員だ。会社の意向に添わなければならず、任期が終われば本社に戻ることが決まっている。

一年以上先のことだが、今から考えるだけで胃のあたりがキリリと傷む。

碧人と結婚して、ここに赴任した時とは状況が一変した今。

自分のこれからを組み立て直すための、重要なタイミングなのかもしれない。

「はあ……」

だからと言って碧人に負担や迷惑はかけられない。

美月はどう踏み出せばいいのかわからず悶々としてばかりの自分にがっかりし、ひっそりとため息を吐いた。




< 107 / 137 >

この作品をシェア

pagetop