無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
そんな中クリスマスツリーを飾る余裕もスペースもなく、今年はツリーの設置は見送ることにした。

その代わりにと言って碧人が連れてきてくれたのが、このショッピングモールだ。

毎年モール中央の広場に現われる大きなクリスマスツリーが有名らしい。

たしかに高さ十メートルを超えるツリーは圧巻の大きさで、全体が白と青の電飾で装飾されてまばゆいばかりだ。

それを囲むように小ぶりのツリーが並んでいて、たくさんのオーナメントが揺れている。

碧人は大きなツリーの前に蓮人を立たせ、早速スマホを構えた。

クリスマス当日の今日は親子連れやカップルも多く、ツリー周辺は撮影の順番を待つ客たちでごった返している。

「よし、終了」

写真を撮り終えた碧人が蓮人の手を引き美月のもとに戻ってきた。

ふたりとも今日一番の仕事を終えたとでもいうような、満足そうな笑みを浮かべている。

蓮人の誕生日に三人で写真を撮って以来、碧人は折に触れてスマホや一眼レフを蓮人に向けるようになった。

今までアルバムを見返しても蓮人ひとりの写真ばかりだったが、碧人のおかげで美月と蓮人ふたりの写真も徐々に増えつつある。

もちろんタイマーや通りすがりの人にお願いして三人で映る機会も増えて、アルバムを見返すのが断然楽しくなった。

写真を見ながら自分がこれほど楽しそうに笑っていることに気づいてそのたび照れくさくなるが、初めて味わう幸せが、それをすべて帳消しにする。

照れくささ万歳だ。

「さんたさんっ」

玩具売り場に向かっていると、突然蓮人が声をあげ走り出した。

「蓮人? 待って」

慌てて追いかけると、少し先でサンタクロースが子どもたちに囲まれていた。

なにかプレゼントを配っているようだ。

「蓮人、行くぞ」

急いで両手を伸ばした碧人がひょいと蓮人を抱き上げる。

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