無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
もともと〝さっく〟が大好きで碧人を慕っていたが、碧人と過ごす時間が増えるにつれて碧人自身の優しさや強さに触れる機会も増え、さらに碧人のことが大好きになり懐いている。

保育園に碧人とふたりで迎えにいった時も、蓮人が一目散に駆け寄るのは碧人。

美月のことは後回しだ。

最近では碧人の足もとにしがみついては肩車をせがんだり、食事の時に美月ではなく碧人の隣がいいとぐずったり。

碧人が大好きだと隠そうとしない蓮人を見るたび、美月の胸に複雑な思いが溢れるようになった。

「ちょっとだけ、寂しいかも」

美月はつないだ手をぎゅっと握りしめ、悔しげにつぶやいた。

「落ち込まなくていいだろ」

碧人は面白がるように笑い、美月の頭を優しくなでる。

蓮人は〝さっく〟に憧れてるだけ。そのうち俺が側にいるのが当たり前になって、落ち着くはずだ。ママのことはいつも自分の近くにいるのが当然だと思って安心してるんだよ。俺が蓮人を独占してるように見えてもそれは今だけ。だから寂しがらなくていいよ」

「違うんです」

美月は即座に首を横に振る。

「違う?」

「そうです。逆なんです。寂しいって言ったのは、蓮人に碧人さんを独占されてるみたいで寂しいというか、悔しいというか」

「……え、俺?」

「実はそうなんです」

美月は照れくさそうに答えながら、視線を泳がせる。

「子ども相手におかしいってわかってるです。でもどうしても蓮人に碧人さんを独り占めされてるみたいで悔しいなって思っちゃって」

美月が碧人とふたりきりになれる時間はそれほど多くない。

というより滅多にない。

今日のようにふたりで出かけられるのは、奇跡のようなもの。

だからせめて碧人と会えた時くらい、近くにいたいし蓮人のように碧人に抱きついたり背中に頬ずりしたり、したいのだ。

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