無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
照れてそわそわするだけの自分を簡単に想像できて、実際にそれができるのかどうか、自信はないが。

それでも。

「私も碧人さんと一緒にいたいんですけど、蓮人がいつも私より早く碧人さんの側に行ってうれしそうにしてるから。なんだか寂しくて。私の方が蓮人よりも碧人さんのこと長い間好きなのに、って対抗したりして」

碧人に肩を抱かれ歩きながら、美月は拗ねた口ぶりで思いを口にする。

もちろん蓮人のことはかわいくて愛おしいが、蓮人とようやく気持ちが通い合った今、少しでも近くに、そして少しでも長く一緒にいたいと思うのだ。

我が子に嫉妬する自分がもどかしくてたまらない。

「はあ……」

碧人はたまらないとばかりに大きく息を吐き出すと、立ち止まり美月の肩に顔を埋めた。。

「あの、ごめんなさい。私、おかしいですよね。子ども相手に寂しいとか悔しいとか。嫉妬しちゃうなんて、母として最低――」

「気が合うな」

「……え?」

くぐもった声が耳もとに響いたと同時に碧人の手を背中に感じ、そのまま抱き寄せられる。

あっという間にふたりの距離がなくなって、同じ傘の中で寄り添っている。

「碧人さん?」

肩に感じる碧人の重みにドキドキする。

「寂しいとか悔しいとか、俺もそうなんだよ」

「俺も?」

「そうだよ。いや、俺の方が、だな。生まれた時から当たり前のように美月を独占してきた蓮人が羨ましいし、悔しいし。俺も蓮人に嫉妬してたんだよ」

「まさか……碧人さんが?」

「そう。俺が。いや、俺の方が、だな」

碧人は美月の肩に顔を埋めたまま、言葉を続けた。

「碧人さんが嫉妬って、まさか。全然わからなくて、気づかなかった」

ふと振り返ってみても、思い当たることはなにもない。

いつも蓮人を愛おしげに見つめ、なにより大切な宝物とでもいうように抱きしめていた。

< 115 / 137 >

この作品をシェア

pagetop