無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「そんなつもりは……」

何度そう言われても、思い当たることもなく、困ってしまう。

「このまま、帰れないだろ」

「それって、どういう――」

「しばらく、このままじっとしていてくれ」

絞り出すような碧人の声が頰を掠めた次の瞬間、さらに強く抱き寄せられ、そして。

「ん……っ」 

気がつけば額ではなく互いの唇が重なっていた。

「あ……あおと……」

とっさに碧人の胸を押して距離を取ろうとするも、腰に回された手にぐっと力がこめられて、さらにふたりの身体は密着する。

「愛してるよ。嫉妬でおかしくなるくらい、美月のことを愛してる」

「私だって……」

唇に直接注ぎ込まれる碧人の想いに全身が熱くなる。

美月は碧人の背中に両手を回してしがみついた。

これではまるで、蓮人みたいだ。

「ふふっ」

「どうした?」

ふと漏らした美月の笑い声に、碧人が首をかしげる。

「いえ、なんでもなくて」

美月は口元を緩め、碧人の胸に頰を寄せた。

もしもここに蓮人がいたら「ぼくもぎゅーする」と言って駆け寄ってくるはずだ。

碧人そっくりの顔で、そして幸せそうに笑いながら。

「「蓮人、今頃どうしてる――」」

ふたりの口から同じ言葉がこぼれ出て、思わず顔を見合わせた。

「……会いたいな」

碧人はふっと笑い、美月の唇に掠めるだけのキスを落とした。

「また、ふたりで出かけよう。俺が蓮人に嫉妬しておかしくなる前に」

冗談交じりにそう言って肩を揺らす碧人を、美月はたまらず抱きしめた。

幸せすぎて、碧人より先におかしくなりそうだ。

「美月」

愛おしげに名前を呼ばれて顔を上げた途端、碧人の唇が額に触れた。

「あと一分」

美月に負けない碧人の幸せそうな声。

あと一分、抱きしめてくれるらしい。

もっと、といいたい気持ちを我慢して、美月も碧人の身体を抱きしめた。

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