無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
蓮人の慌てた声が聞こえ、美月は動きを止めた。

「ママ、蓮人も」

美月の膝にしがみつき、れんとはあーんと口を開く。

「なんだよ蓮人。食いしん坊だな」

碧人は気が抜けたように笑い、蓮人の頭をくしゃりとなでる。

その目が再び潤んでいるように見えるのは気のせいじゃない。

そして美月の目から今にも涙がこぼれ落ちそうなのも。

「じゃあ、ひと口目はれん君にあげる。あーん」

「あーん」

精一杯開いてもまだまだ小さな蓮人の口にケーキを運びながら、美月はこの幸せがいつまでも続きますようにと、心から願った。




その夜、一日はしゃいでいた蓮人はお風呂を済ませたあと早々に眠りについた。

今夜は碧人が美月の自宅に泊まるので一緒にブルーインパルスの映像を観ると喜んでいたが、眠気には勝てなかったようだ。

初めての映画に興奮し、おじいちゃんおばあちゃんたちに存分可愛がられて疲れ果てたに違いない。

ベッドの中でスヤスヤ寝息をたてる蓮人の頭を優しくなでながら、美月はそのかわいらしさに頰を緩めた。

「蓮人は碧人さんを取り合う最大のライバルだけど、やっぱりかわいい」

美月はベッドの脇に膝をつき、蓮人の寝顔を見つめた。

最近ますます碧人に似てきたが、形のいい顎のラインまでそっくりだ。

碧人の子どもの頃も今の蓮人に似ていたのだろうかと想像して、美月は頰を緩ませた。

「俺にとっても蓮人はライバルだな。美月にそんな優しい顔をさせる男は俺ひとりでいい」

冗談とは思えない碧人の強い言葉に、美月はふふっと笑う。

「蓮人、こんなこと言われてるよ。サック、本気みたい」

美月は小声でささやくと、蓮人の頰に優しくキスをした。

蓮人が生まれたばかりの頃からよくこうしてキスをしていたが、最近では恥ずかしがって逃げられることも多い。

眠っている今がチャンスなのだ。

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