無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「これね、お菓子いろいろ。お義母さんが旅館組合の集まりでもらったらしくて、ここに持って行ったらって。子ども食堂に来る子ども達、喜んでくれるかな」
「お菓子?」
大きくふくらんだ袋の中を覗くと、おまんじゅうや煎餅をはじめ、最近人気のグミやスナック菓子などがたくさん入っている。
「旅館で扱ってほしいって、業者が売り込みに来てどっさり置いていったんだって」
日葉里の夫は老舗高級旅館の跡継ぎだ。
ふたりは大学時代に知り合い、卒業を機に結婚して数年後、小松で居を構えた。
それから七年余り、今では旅館の経営を任された夫を支えながら、日葉里自身も若女将修行を兼ねて旅館で働いている。
とはいえ八歳と六歳の女の子を育てる母としても忙しい日葉里は、バイト感覚の若女将修行だと言って、気楽な様子で笑っている。
真面目でストレスを抱えやすい美月とはまるで正反対。
日葉里が小松で暮らしていることも、美月が異動を決意した理由のひとつだ。
「このお菓子どれもおいしかったのよね」
「ありがとう。子ども達、喜ぶよ」
週に一度実施している子ども食堂には近所の子どもたちや保護者が大勢集まり、毎回賑やかだ。
メニューを考え調理しているバイトはみな近くの大学に通う管理栄養士の卵たちで、栄養価計算もばっちり。子ども達からの評判も上々だ。
「コーヒーをもらえる? あ、アイスで」
「わかった。すぐに用意するね」
美月はカウンターにいるバイトに視線を向け「アイスコーヒーひとつお願いします」と声をかける。
「週末の航空祭も暑くなりそうね」
日葉里がうんざりしたように顔をしかめた。
九月半ばとはいえ秋の気配はまるでなく、夏日の連続記録更新中だ。
小松基地で航空祭が開催される来週末も晴天で気温はかなり上がると予報が出ていた。
「いらっしゃいませ。久しぶりですね」
「お菓子?」
大きくふくらんだ袋の中を覗くと、おまんじゅうや煎餅をはじめ、最近人気のグミやスナック菓子などがたくさん入っている。
「旅館で扱ってほしいって、業者が売り込みに来てどっさり置いていったんだって」
日葉里の夫は老舗高級旅館の跡継ぎだ。
ふたりは大学時代に知り合い、卒業を機に結婚して数年後、小松で居を構えた。
それから七年余り、今では旅館の経営を任された夫を支えながら、日葉里自身も若女将修行を兼ねて旅館で働いている。
とはいえ八歳と六歳の女の子を育てる母としても忙しい日葉里は、バイト感覚の若女将修行だと言って、気楽な様子で笑っている。
真面目でストレスを抱えやすい美月とはまるで正反対。
日葉里が小松で暮らしていることも、美月が異動を決意した理由のひとつだ。
「このお菓子どれもおいしかったのよね」
「ありがとう。子ども達、喜ぶよ」
週に一度実施している子ども食堂には近所の子どもたちや保護者が大勢集まり、毎回賑やかだ。
メニューを考え調理しているバイトはみな近くの大学に通う管理栄養士の卵たちで、栄養価計算もばっちり。子ども達からの評判も上々だ。
「コーヒーをもらえる? あ、アイスで」
「わかった。すぐに用意するね」
美月はカウンターにいるバイトに視線を向け「アイスコーヒーひとつお願いします」と声をかける。
「週末の航空祭も暑くなりそうね」
日葉里がうんざりしたように顔をしかめた。
九月半ばとはいえ秋の気配はまるでなく、夏日の連続記録更新中だ。
小松基地で航空祭が開催される来週末も晴天で気温はかなり上がると予報が出ていた。
「いらっしゃいませ。久しぶりですね」