無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
けれどここで仕事を覚えるうちにカフェの存在価値に気づき、地元の人に必要とされる場所に育てていきたいと思うようになるのに時間はかからなかった。

地元の人たちが日々交流出来る場所。子ども食堂を楽しみにしている子どもや保護者たちの心の拠り所。

そして航空自衛隊ファンが年に何度か集まれる聖地のような場所。

そんな、誰かの生活にほんの少しでも潤いと彩りを提供できるカフェ。

それをこれから作り上げていきたい。

「私はこのカフェに助けられたようなものなので、これからもこのカフェで誰かのサポートができるように、力を尽くしたいというか。うまく言えないんですけど」

去年の十二月、ここで結婚のお祝いをしてもらった頃から真剣に考えてきたが、いざ気持ちを正確に伝えるとなると、難しい。

「うーん」

岡崎は腕を組み、困ったように首をひねる。

「桜井がそう思ってるのはなんとなく察してたんだ。だけど結論から言って、難しいな。たとえ来年延長できたとしても、いずれ出向が解かれて本社に戻ることになる」

「そうですよね。私もそのあたりは理解しています。だから別の方法でここに残れたらと思っていて」

「別の方法?」

「そうです。社員としてではなく、アルバイトとしてここで働くのもアリですよね」

「アルバイト?」

岡崎は目を丸くしひと言声をあげると、椅子の背にもたれていた身体を素早く起こした。

「そうです。ただ、このカフェは管理栄養士を目指している学生さんに来てもらっているので、採用してもらえなかったら近隣のカフェに移ってもいいかなと」

調べてみると、藤崎商事は現在全国各地でカフェの出店を進めていて、ここから近い新店舗に移るのはそれほど難しい話ではなさそうなのだ。

人手不足でどこもアルバイトの確保は難しい。

だとすれば、経験者の美月がバイトとして採用される可能性はかなり高い。

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