無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
途中振り返ると、蓮人の隣に席を移した佐々木と蓮人が、佐々木のスマホを覗き込んでいる。

「ブルー、カッコいい」

美月は興奮気味の蓮人の声に頰を緩ませながら、遠回しに蓮人の世話を引き受けてくれた佐々木に心から感謝した。

佐々木に限らず、常連たちはみな、美月と蓮人を温かく見守ってくれている。

古い慣習や考えが残る地方都市では、美月のような未婚のシングルマザーへの目が厳しいだろうと覚悟していたが、現実は違っていた。

深入りせず優しく見守り、ここぞというタイミングで手を差し伸べてくれる。

それは本社にいた時にはなかったことで、それまで抱えていた重荷が軽くなった気分だ。

「わー、ちょっと悔しい。私もれん君と遊びたかったのに、佐々木さんに先を越されました」

「え……?」

紅茶の茶葉が入った缶を手に振り返ると、バイトの女の子が大袈裟に顔をしかめていた。

「れん君が来るって聞いて、楽しみにしてたんです。だから店が忙しくなる前にれん君とお話しようと思ってたのに。仕方ない、あとで私もちょっとれん君に挨
拶してきます」

「あ、挨拶?」

美月はきょとんとする。

「そうですよ。今日のバイトはみーんなれん君に会うのを楽しみにしてるんです。だかられん君のことは心配しなくて大丈夫ですよ。みんなで見てるし任せてく
ださい」

「見てるって、それはありがたいけど、申し訳ない――」

「全然です。私、幼稚園の管理栄養士を目指してるので勉強にもなるし、子どもが大好きだし。それにれん君かわいいし」

「あ……ありがとう」

勢いにおされ、美月は思わずうなずいた。

「というわけで、佐々木さんのパンケーキと紅茶は私が運びます。ついでにれん君とおしゃべりしてきます」

バイトの女の子は美月の手から紅茶の缶を引き取ると、カップを用意し準備を始める。

「おしゃべり……? まだ片言に近いけど?」

< 26 / 137 >

この作品をシェア

pagetop