無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
これは碧人のラストフライトが特集された雑誌で、蓮人の最近の一番のお気に入りだ。

「あら、ブルーインパルスが好きなの? この間、私も航空祭で見たのよ」

佐々木は傍らに置いていたスマホを操作し写真を表示させると、美月と蓮人に見せた。

「わあ、いいですね。すごく綺麗」

画面には六機の機体が青空をバックに編隊をつくり飛んでいる写真が表示されている。

「初めて見たけど、カッコよくて見とれちゃったわ。ほら、れん君も見る?」

「ブルーっ!」

蓮人は身を乗り出してスマホの画面を見つめ、うれしそうに声をあげた。

「本当に好きなのね」

佐々木はふふっと笑う。

「ママがお仕事の間、れん君にはおばあちゃんの相手をしてもらおうかしら。れん君いい?」

蓮人の顔を覗き込みそう言うと、佐々木はスマホの画面に写真を次々と表示させた。

蓮人は食い入るようにその写真を見つめ、表情をほころばせる。

順に画面に現われるブルーインパルスに目が釘付けだ。

「れん君のことなら心配いらないわよ。そのうちいつもの顔ぶれが揃うから、みんなでれん君を可愛がらせてちょうだい。うちの孫はもうみんな大きいかられん
君くらいの子を見ると懐かしいのよ」

「でも、そのうちぐずぐず言い出すかも知れなくて。その時は店の外に出ていようかと」

「子どもがぐずぐず言うのは当たり前よ。私くらいの年になるとね、それがかわいくて仕方がないの。とはいっても私も有坂さんくらいの年の時はそうも言って
られなかったけど」

佐々木はおどけたようにそう言って軽く肩をすくめた。


「ほら、ママはさっさとお仕事に戻って、早くミルクティーを持ってきてちょうだい。私は今かられん君にブルーのことを教えてもらうから」

「あ……は、はい。ありがとうございます」

美月は軽く頭を下げ、厨房へと向かった。

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