無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
いっそう激しく唇を貪られ、力一杯抱きしめられて、美月は息苦しさに呼吸を止めた。

胸が痛いほど苦しいのは呼吸ができないからなのか、それとも碧人とこうして一緒にいることに気が高ぶっているからか。

その答えはわかっている。

「私も、大好き。ずっと好きだった」

興奮でうまく口が回らない中でも、その気持ちだけはちゃんと伝えたくて。

「忘れたこと、なかった」

碧人の身体を抱き寄せて、耳もとに直接想いを注ぎ込んだ。

その瞬間、碧人の逞しい体がぶるりと震えるのを感じて、美月の身体も大きく揺れた。

「美月、ごめん。もう抑えられそうにない。

つらかったら俺にしがみついていいから」

切羽詰まった碧人の声が、ベッド横の小さなライトがぼんやりと照らすベッドルームに響いた。

美月はさらに深くベッドに押しつけられたかと思うと、それまで碧人の指先に優しく触れられていた脚の間に熱くなった圧を感じ、そして。

「あ……っん」

鋭い痛みとともに下腹部に硬い熱が押し入られるのを感じた。

「やあっ……」

あまりの痛みに思わず身体をのけ反らせ逃げようとするも、碧人の腕が伸びるのが早く、肩をベッドに押しつけられ唇をふさがれた。

「悪い」

碧人は食いしばるような声でつぶやき、美月の頰にかかる髪を荒々しい仕草で梳く。

「好きだ。今も、ずっと」

互いの目を合わせ、言い聞かせるような声音で告げられた瞬間。

「私だって……ずっと忘れてない」

目尻から涙がこぼれるのを感じながら、美月も力強い声で答えた。

高校を卒業してから、というよりも。

別れるしかなかった高校一年生の冬からずっと、碧人を忘れたことはなかった。

どれだけこうして抱き合える日を夢見ていたことか。

「美月、俺の、美月」

それは高校時代に何度も言われた言葉だ。

「碧人先輩っ」

美月はたまらず碧人の身体を抱きしめた。
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