無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
それになにより蓮人のことを知られたくない。
「お客様、こちらへどうぞ」
碧人たちを案内する岡崎の声を背中で聞きながら、美月は蓮人を追いかけた。
そして手早く片付けを済ませた後、蓮人を見ていてくれた常連客やバイトの面々に礼を伝え、急いで店をあとにする。
従業員が使う裏口から店の外に出た時、つないだ蓮人の小さな手をぎゅっと握りしめながら、美月は込み上げる想いに泣きそうになった。
記憶の中の碧人よりも今の碧人の方が、数倍カッコよかった。相変わらずの端整な顔には大人の自信が滲み、佇まいは力強く逞しかった。
顔を合わせていたのはほんのわずかな時間なのに、身体の奥深くにしまい込んでいた碧人への想いがあっという間に引きずり出されたようだ。
今も碧人を忘れていない。
それどころか今もまだ――。
「そんなこと……」
美月は大きく首を横に振った。
たとえ今も碧人への想いが残っているとしても、どうすることもできない。
碧人が今も変わらず、というよりあの頃よりも素敵に見えたのは、今が幸せだからだ。
美月と接点ひとつなかった十年以上の日々、傍らにはラストフライトの時に姿を見せた女性が寄り添っていて充実していたに違いない。
美月が知らない日々が、今の碧人をつくりあげたのだ。
幸せに違いない碧人の人生に、重荷にしかならない自分が関わるわけにはいかない。
美月は窓越しにでも碧人の姿を見たいと思いながらもぐっとこらえて、蓮人を抱き上げ自宅へと足を速めた。
碧人が店を訪れた日から二週間、美月は碧人がまた顔を見せるかもしれないと緊張しそわそわしながら仕事を続けていた。
碧人を避けるように自然と店の奥で事務仕事をする時間が増え、フロアに立つ時間はかなり減った。
岡崎は気遣わしげな視線を向けてくるだけであの日のことはなにも聞いてこない。
「お客様、こちらへどうぞ」
碧人たちを案内する岡崎の声を背中で聞きながら、美月は蓮人を追いかけた。
そして手早く片付けを済ませた後、蓮人を見ていてくれた常連客やバイトの面々に礼を伝え、急いで店をあとにする。
従業員が使う裏口から店の外に出た時、つないだ蓮人の小さな手をぎゅっと握りしめながら、美月は込み上げる想いに泣きそうになった。
記憶の中の碧人よりも今の碧人の方が、数倍カッコよかった。相変わらずの端整な顔には大人の自信が滲み、佇まいは力強く逞しかった。
顔を合わせていたのはほんのわずかな時間なのに、身体の奥深くにしまい込んでいた碧人への想いがあっという間に引きずり出されたようだ。
今も碧人を忘れていない。
それどころか今もまだ――。
「そんなこと……」
美月は大きく首を横に振った。
たとえ今も碧人への想いが残っているとしても、どうすることもできない。
碧人が今も変わらず、というよりあの頃よりも素敵に見えたのは、今が幸せだからだ。
美月と接点ひとつなかった十年以上の日々、傍らにはラストフライトの時に姿を見せた女性が寄り添っていて充実していたに違いない。
美月が知らない日々が、今の碧人をつくりあげたのだ。
幸せに違いない碧人の人生に、重荷にしかならない自分が関わるわけにはいかない。
美月は窓越しにでも碧人の姿を見たいと思いながらもぐっとこらえて、蓮人を抱き上げ自宅へと足を速めた。
碧人が店を訪れた日から二週間、美月は碧人がまた顔を見せるかもしれないと緊張しそわそわしながら仕事を続けていた。
碧人を避けるように自然と店の奥で事務仕事をする時間が増え、フロアに立つ時間はかなり減った。
岡崎は気遣わしげな視線を向けてくるだけであの日のことはなにも聞いてこない。