無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
第二章 想定外の甘い展開
第二章  想定外の甘い展開
 
 
早朝、基地に向かう準備を終えた碧人は、数日前に松島基地から小松基地に届いた白い長封筒を開封した。
 
差出人は木島忍。

航空機の写真を得意とする、出版社勤務のカメラマンだ。
 
腕はたしかで、最近も彼女が手がけた大手航空会社の広告写真が名誉ある賞を受賞したと聞いている。
 
碧人がブルーインパルスに乗機している三年間も、航空祭をはじめとするイベントはもちろん、日常訓練にも顔を出してはカメラを向けていた。
 
ラストフライトの時には前日から基地を訪れ、碧人の人生の節目を熱心に記録していた。

「これか……」

長封筒から出てきたのは、ブルーインパルスの一年間のフライト記録を掲載した雑誌の特別号。
 
全国での展示飛行の様子に加えて隊員や整備員の紹介記事もたっぷりで、ファンにはたまらない構成になっている。
 
碧人のラストフライトの記事もかなりのページ数を割かれていて、事前に受けたインタビューも見開き四ページにわたって掲載されていた。
 
記事を確認した広報から聞いていたが、ラストフライトを中心とした構成内容に、碧人はため息を吐く。
 
木島はカメラマンとしての自身のポジションを自覚していて、編集にも強気の意見を挟むと小耳に挟んだことがあるが、これを見れば納得せざるを得ない。
 
ラストフライトなど大袈裟に取り上げる必要などない、年に一度以上は必ずある日常だ。
 この記事の構成には木島の個人的な感情が反映されているとしか思えない。
 
碧人は雑誌を閉じ、無造作にテーブルの上に置く。
 
木島がドルフィンライダーである碧人に特別な感情を抱き、レンズ越しにその思いを送ってきていることには気づいていた。

だからといって碧人にはどうすることもできなかったが。 
 
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