無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
ブルーインパルスは航空自衛隊の広報の役割を担っていて、ファンのために全国の空を飛んでいる。それはやりがい溢れる幸せな任務で、一生の誇りだと思える時間だった。

ただ、任期中はHPに紹介写真がアップされ、あらゆる媒体から取材を受ける機会もあり、そのたび緊張した。

けれどブルーインパルスから離れた今、こうして雑誌などに載るのはきっとこれが最後。 

木島と顔を合わせる機会もないはずだ。

ホッとした途端、ドルフィンライダーとしての任務を無事に終えた日の安堵感が蘇ってくる。

事故なく怪我なくどこも故障せずの三年間。無事に責任を果たせたことが、心底うれしかった。

仲間に迷惑をかけることなく夢をまっとうできた幸せで胸が熱くなるのをどうすることもできなかった。

その感情があふれ出ている写真が、一枚あった。

家族からの花束贈呈の時の写真だ。

結婚していれば妻や子どもが基地に招かれ花束を贈るが、碧人は独身なので両親がその役目を担うはずだった。

けれど母親がぎっくり腰で来られなくなり、仙台で暮らす従姉妹が急遽引き受けてくれた。

二歳年上の従姉妹とは子どもの頃から交流があり、ひとりっ子の碧人にとっては昔から姉のような存在。

松島にいる間、彼女の自宅を訪れ夫やふたりの子どもたちと楽しい時間を過ごす機会は多かった。

花束を手渡された時、彼女たちの温かいサポートを思い出して胸が熱くなったのはたしかだが、同時に美月の顔も浮かんできてどうしようもなく切なかった。
 
高校生の時、美月をどうにか説得して付き合いを続けていれば、今目の前にいるのは美月だったかもしれない。

わざわざ駆けつけてくれた従姉妹には申し訳ないと思いつつ、花束を受け取りながら、そう思わずにはいられなかった。

高校時代からブルーインパルスの一員となり空を飛ぶと決め邁進してきた。

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