無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「これ、美月が?」

「そうです。蓮人の好物ばかりで申し訳ないんですけど、一応、あの」

美月は一瞬口ごもると、碧人の手もとにもコロッケが乗った皿を並べた。

「今もそうだといいんですけど、碧人先輩、カニが好きでしたよね。これ、カニクリームコロッケです。実は蓮人も大好きなんです」

高校時代、碧人は食べ物の中でカニが一番好きだと言っていた。

「カニは今も不動の一位。こっちはおいしいから、この時期はカニ三昧。だけどよく覚えてたな」

「実は最近思い出したんです。蓮人もカニが大好きで、姉が持ってきてくれたカニをせいろ蒸しにして出したら黙々と食べてます。碧人先輩に見た目だけじゃなくて食の好みも似てるからびっくりして。遺伝子、あなどれませんね」 

碧人は目を開き、変わらずニコニコしながら図鑑を抱きしめている蓮人を見やる。

「遺伝子か。だったら俺も子どもの頃は乗り物が好きでミニカーを山ほど集めてたな。今の蓮人に似てる」

「やっぱり、そうなんですね」

碧人と再会してからというもの、美月は蓮人が見た目だけでなく性格や嗜好も碧人に似ていると、驚くことが増えた。

そのたび碧人に蓮人の存在を知らせることができてよかったと感じ、ふたりを長く引き離していたことに罪悪感を感じている。

「ママー、食べていい?」
 
待ちくたびれたのか、蓮人が早速フォークを握りしめそわそわしている。

「じゃあ、食べようか。でもその前に、碧人せん……サックが持ってきてくれたケーキにふーしようね」

美月は蓮人の手から図鑑を引き取りテーブルの端に置くと、碧人が用意してくれたバースデーケーキの三本の青いローソクに火を点けた。

艶のある苺がずらりと並び生クリームたっぷりのホールケーキには『れんとくん3さいおめでとう』と描かれたチョコプレートがデコレートされていて、おいしそうだ。

「蓮くん、三歳おめでとう」
< 71 / 137 >

この作品をシェア

pagetop