無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
碧人と顔を見合わせ、慌ててモニターを確認しに行くと、両親と日葉里、そして日葉里の子どもたちがカメラに向かって手を振っていた。


「驚かせるつもりで内緒で来たのに、こっちが驚いちゃった」

日葉里がソファに腰を下ろし、そう言ってケラケラ笑う。

「ご、ごめんなさい」

美月はコーヒーを淹れていた手を止め、居心地の悪さに身体を小さくする。

日葉里たちは蓮人の誕生日を一緒に祝おうと示し合わせてやって来たらしいが、タイミングが悪すぎる。

碧人に家族と会わせると決めたとはいえ、心の準備がまだできていない。

ひとまず落ち着こうと深呼吸し、できあがったコーヒーをカップに注ぐ。

チラリと顔を向けると両親と日葉里がソファに腰かけて、向かいに座る碧人を前のめりに見ている。

あまりにも蓮人に似ていて目が離せないようだ。

「やっぱり蓮人のことは、なにも聞いてなかったんですね」

美月からおおまかな事情を聞き出した日葉里のため息交じりの声。

美月は思わず背を向けた。

事情を知れば当然だが、責められるのはやはり自分のようだ。

自分ひとりの判断で、碧人の父親としての権利を取り上げてしまったのだから。

「ですが美月さんがそう決めたのは、僕のためなんです。僕に仕事で大きな変化があった時期に妊娠しているとわかったので、言えなかったんだと思います。僕のためにひとりで出産すると決めて今まで蓮人君を育ててくれたこと、本当に感謝しています」

碧人の落ち着いた声を背中で聞きながら、美月はトレイを手にリビングに足を向けた。

「サック」

日葉里は唐突につぶやいて、碧人にニッコリ笑いかけた。

「お姉ちゃんっ、え、どうしてそのタックネーム」

美月は目を丸くし、ローテーブルにトレイを置いた。

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