無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「どうしてって。あれだけしょっちゅう蓮人とブルーインパルスの映像やら写真やらを隣で見せられたら、誰だってパイロットの顔と名前を覚えるわよ」

「それは……」

心当たりがありすぎて反論できない。

「蓮人が喜ぶから見てるだけだろうって思ってたし、さすがに蓮人の父親がドルフィンライダーとは思わないわよ。だけど、そうか、なるほど」

「なるほどって、たしかにそうなんだけど」

美月は気を取り直し、コーヒーを日葉里たちの手もとに並べた。

いざこうして碧人のことがばれると、予想以上に照れくさい。

「で、最近美月のカフェで偶然再会したのね?」

日葉里の隣でやり取りを見守っていた母が、口を開く。

両親は頻繁にふたりの娘に会いに小松にやって来る。

日葉里の嫁ぎ先の旅館が気に入っていて旅行ついでだと言うが、美月と蓮人を心配して来ているはずだ。
 
今日も、顔を合わせてからずっと、日葉里の子ども達と遊ぶ蓮人を愛おしげに眺めている。

「たまたま店に来て、それで」

「そう。美月が妙な気を使って距離を置いても、結局ご縁があったのね。とくにれん君との親子の縁が強いんじゃない?」
 
チクリと責めるような母の声音に、美月はラグの上でうなだれた。
 
結局、家族はみな美月に責任があると認識していて、碧人を責めるつもりはないようだ。

けれどそれは、蓮人の父親として碧人を受け入れているということだ。

美月は気がかりのひとつが解決したようだと、肩の力を抜いた。

すると碧人は姿勢を正し、日葉里たちにまっすぐ視線を向けた。

「実は近いうちにご挨拶に伺ってお願いするつもりでいたんですが」

「碧人せ……さん?」

〝碧人先輩〟と言いかけたものの、家族の手前どうかなと気づき、言い直した。

初めての名前呼びにドキリとする。

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