無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
滞在を延長した美月の両親を交えての顔会わせ。もちろん蓮人を碧人の両親に紹介することになる。

今日まで一週間、どう挨拶すれば、どう謝ればいいだろうと考えては胃のシクシクとした痛みに耐えてきた。

けれどいざ顔を合わせた途端始まったのは、両家の親たちによる謝罪合戦。

『うちのバカ息子のせいで申し訳ありません』

『いえいえ娘が勝手なことを。本当にすみません』

その後旅館自慢の絶品の料理とおいしいお酒、そして蓮人の笑顔が場の空気を和らげ、気づけば笑い声が飛び交う時間が流れていた。
 
当然ながら美月たちの結婚を反対する声はなく、蓮人のこともあるのですぐにでも婚姻届を提出するよう諭された。
 
夕方すぎ明日仕事がある碧人の両親を空港に送り、美月たちは碧人の自宅に帰ってきた。

美月はラグの上に腰を下ろし碧人が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、ここ一週間続いていた緊張がようやく解けていくのを感じた。

蓮人は今夜、日葉里の旅館にそのままお泊まりだ。

今頃美月の両親や日葉里の子どもたちに可愛がられ、楽しんでいるはず。

碧人とふたりで過ごせるよう日葉里が気を使ってくれたのはわかるが、蓮人と離ればなれの夜は初めてで、おまけに碧人とふたりきり。 

蓮人が気になるのはもちろん、昼間の緊張感とはまた別の緊張感でそわそわして、平常心を保つのにも苦労している。

「うちの父さん、予想どおりだっただろ」

碧人は苦笑交じりにそう言って、美月の隣に腰を下ろした。

「だけど私の方が悪いのに何度も謝られて、申し訳なかっ――」

「それはもういいんだ」

「あ……はい」

碧人のきっぱりとした声に、美月は言葉を飲み込んだ。

「事情がどうであれ、美月に苦労をかけたのは事実だ。うちにも姉がいるから、娘を持つ親として、美月のご両親の気持ちを察して謝るしかなかったんだと思う」

「そう、ですか……」
< 81 / 137 >

この作品をシェア

pagetop