無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
互いの家族に挨拶まで済ませた後で、こんな話をするつもりはなかった。

けれどガラスケースの中に入れてまで大切に保存されているドライフラワーが目に入った途端、碧人が本当に結婚したいのは自分ではないことを思い出したのだ。

考えてみれば、碧人から結婚しようと言われたわけじゃない。

美月の家族と思いがけず対面し、その流れで結婚を暗示するような言葉を美月の父に伝えただけ。

「申し訳ありませんが、そのことは美月とふたりの時に直接言わせてください」

「えっ?」

 耳もとに直接届いた碧人の声に、美月は顔を向けた。

あの日碧人が美月の父に言った言葉だ。

「やっと言える」

「やっと?」

なにを言いたいのか意味がわからない。

「ふたりの時にって言ったが、それって意外に難しいな。日葉里さんが察してくれて、ようやくだ」

「お姉ちゃんが? なにかあったんですか?」

「日葉里さんのおかげで、ようやく美月にプロポーズできるってこと」

「プロポーズ?」

美月は混乱し、眉を寄せる。

「そう。まだ言ってなかっただろ?」

「それはそうですけど、でも、お姉ちゃんがどうして?」

ここでどうして日葉里の名前が出るのか、さっぱりわからない。

「日葉里さんが今夜蓮人を預かってくれたのは、俺たちをふたりきりにするために気を利かせてくれたんだよ」

「ふたりきりって、そんなこと今までなにも……あっ」

ふと思い出して、美月は碧人をまじまじと見つめた。

『申し訳ありませんが、そのことは美月とふたりの時に直接言わせてください』

それしか思い浮かばない。

日葉里がやたら蓮人を預かりたいと言っていたのも、このためだったのだ。

「碧人先輩、あの、もしかして」

あわわと慌てる美月に軽くうなずくと、碧人は表情を整え改めて美月に向き合った。

「愛してる。だから、俺と結婚してくれないか?」

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