無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「そう。俺が照れるのを狙ってわざと派手な花束を用意してきたんだ。ニヤニヤ笑ってるから俺もカチンときて、思いっきり喜んでる振りで受け取って……。あ、悪い、ぴんとこないよな」

「はあ」

気まずげに肩をすくめる碧人に、美月はぼんやりつぶやいた。

想像とはまるで違う答えに言葉が出てこない。 

「ああ、そういえばこれにも載ってるから美月も見てるんじゃないか?」

 碧人はローテーブルに積まれている雑誌の中からブルーインパルスのフライト記録が載っている雑誌を手に取った。

美月も手に入れた雑誌だ。

「これ。赤とか黄色とか、ピンク。フライトスーツにも合わないし、かすみ草ってほんと勘弁してほしかった」

「かすみ草……かわいらしいですね」

碧人が開いて見せたのは、ラストフライトを終えて花束を贈られた時のショット。

碧人が言うように原色が目に眩しい華やかな花束。そしてきれいな女性と顔を見合わせ笑い合っている、例の写真だ。

「前にも話したと思うけど、俺の初めての育児は彼女の双子の子どもたち。従姉妹だっていっても人使いが荒くて訓練より疲れた」

「双子……従姉妹? あっ」

聞き覚えのある言葉にハッとする。

「まさか、彼女って」

「従姉妹。この日、急に来られなくなったうちの親の代わりに駆けつけてくれたのはいいが、用意したのはこの花束。俺の困った顔が見たかったらしいが、まあ、わざわざ来てくれたのは感謝だけどな」

碧人は肩をすくめそう言うと、見開きいっぱいに掲載されたその写真を懐かしそうに見つめた。

「この時、美月を思い出してた」

「私?」

「ああ。美月がここにいたらって、思ってた」

「あっ」

美月はハッとし両手で口を押さえた。

碧人は写真を眺めたまま、言葉を続ける。

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