無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「もしも高校生だったあの時、あきらめずに美月と付き合い続けていたら、それにもしも三年前のあの時、美月の連絡先を聞いてイギリスとの遠距離恋愛を始めていたら、花束を持って目の前にいるのは美月だったかもしれない……今さらだよな」 

「碧人先輩……」

ぎこちなく笑う碧人から、目が離せない。

それにいきなり知らされた大量の情報に理解が追いつかず、なにからどう話せばいいのかわからない。 

美月はラストフライトの写真を睨み付けるように見つめ、どうにか気持ちを整える。

写真の中の碧人と極上の笑みを浮かべている女性。

ふたりは従姉妹同士、それも頻繁に行き来している昔馴染みのような関係だ、親しそうに見えるのは当然のこと。

そう納得した途端、同じ写真なのに今までとはまるで違って見えてくる。 

「ラストフライト、美月と蓮人に見てほしかった。これもまあ、今さらだな」

自嘲気味に笑う碧人に美月は力なく首を横に振り、深くため息を吐きだした。

最初から碧人を信じて事情を聞いていれば、ここまで悩まずに済んだはず。

思い込みで勝手に悩んでいた、自分の浅はかさが情けない。

「美月?」

「私」

顔を上げると、心配そうに見つめる碧人と目が合った。

「私、この時ここにいたんです」

写真を指差し、美月は打ち明ける。

「ここにって、それって、基地に?」

「そうです。蓮人とふたりで基地の外からフライトを見てました。ドルフィンライダーとして最後の碧人先輩を蓮人に見せてあげたくて」

「噓だろ……」

碧人はぼうぜんとつぶやき目を見開いた。

「たくさんのファンの人が碧人先輩のために駆けつけているのを見て感動しました。真っ青な空に広がるスモークが綺麗で。私も蓮人も夢中で見てました。……碧人先輩?」

「どこまで俺を喜ばせるんだよ」

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