無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
木島の言葉を、碧人は遮った。
丁寧ながらもきっぱりとした声に、木島は一瞬ひるみ、顔をゆがめた。

「申し訳ありません。このあと予定があるので失礼します」

「は、はい」

木島はぴくりと身体を揺らし、唇をかみしめた。

うつむく間際、悔しそうに眉を寄せた木島の表情に、美月は心臓がトクリと鈍い音をたてるのを感じた。

「木島さんもお仕事がんばってください。それでは、これで」

「あ、あの」

蓮人を抱き上げた碧人に、木島が慌てて声をかける。

「あの、小松基地に赴任されたんですよね。以前のようにF―15に乗られているんですか? それにいずれアグレッサー部隊に呼ばれたりは……あ、いえ」

表情を消した碧人に気づき、木島が言葉を飲み込んだ。

「立ち入ったことを、すみません」

「いえ。今も隊員として、精一杯任務を果たしています」

気まずげに視線を逸らした木島に、碧人が静かに答えた。任務の詳細は口に出せないのか、表情は固い。

「さっく?」

待ちくたびれたのか、蓮斗が碧人の腕の中から声をかけた。

「ああ、ごめん。待ちくたびれたな。じゃあ、バスに乗りに行こうか」

あっという間に表情を和らげた碧人が、蓮人の頭をくしゃりとなでた。

目尻を下げ愛おしげに蓮人を見つめる碧人を、木島が目を丸くし見つめている。

「きゃはー」

蓮人は碧人の首にしがみつき笑い声をあげる。

「さっくとバスに乗るー」

両足をバタバタさせはしゃぐ蓮人を、碧人が必死で抱き留めクスクス笑う。

「美月、急ごう。蓮人、バスに乗るまで落ち着きそうにないぞ」

「そうですね。あー、蓮人、落っこちるからおとなしくして」

三歳の男の子の力は甘くない。美月は慌てて両手を伸ばし、大きく身体を反らしてふざけている蓮人の背中を支えた。

「もう、さっくと一緒だといつも甘えて……碧人さん、ごめんなさい」

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