無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
木島はきっと碧人のことが好きだ。

碧人が結婚したと知ってもそれに納得できないとばかりに何度も食い下がっていた。

急な話で驚くのはわかるが、彼女のそんな強気な性格にも圧倒されそうだ。というより圧倒された。 

「たしかに木島さんはカメラマンとして自立してるな」

「やっぱり、そうですよね」

碧人にとっても木島は一目置く存在なのかもしれない。

そのことに思いがけず落ち込んだ。

「だからって彼女に圧倒されなくていい。美月も仕事を続けながらひとりで蓮人を育ててきたんだし。俺は美月のその強さに圧倒されてる。〝美月は美月〟だろ?」
 
つないだ碧人の手に力がこもる。

「ただ、これだけは覚えておいてほしいんだが。もしもこの先木島さんとかかわる機会があっても意識しないでいいし、無理につきあう必要もない。ブルーから離れた今はもう、俺と直接かかわる機会はないはずだし」

「は、はい」

これまでにない語気の強さに反応して、美月は勢いよくうなずいた。

「もしもなにかあれば俺に言ってくれ」

「……わかりました」

美月が気を落としていると、よほど心配しているのかもしれない。

碧人に淡々と諭されて、木島のことで沈みかけた気持ちが上向いていくのがわかる。

〝美月は美月〟そう言ってもらえると前向きにもなれる。

とはいえ碧人に向けていた木島の眼差しを思い出すと、胸がざわざわして落ち着かない。

美月は手をつないだままそっと碧人を見上げた。

どこをどう切り取っても端整な顔と鍛えられた身体。

そしてイーグルドライバーという特別な任務に就いている。

木島のように碧人に憧れる女性は他にもいるはずだ。

「まま、バスがいっぱい走る」

駅が近づきロータリーに入ってくるバスを見つけた蓮人が、声をあげた。

「あの赤いバスに乗ろうか。おいしいハンバーグを食べに行こう」

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