無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
これから三十分ほどバスに乗って、地元で有名だという洋食店に行く予定だ。

「ポテトも?」

「あるよ。ほくほくでおいしいぞ」

「やったー。さっく、早く。ママも早く」

蓮人と碧人が手をつないでバスに向かって急ぐ。

美月は頭に浮かぶ木島の顔を脇に押しやると、気持ちを切り替えふたりを追いかけた。




週明け、美月は午前中仕事を休んで美容院で髪をカットし整えてもらっていた。
 
出産以来、髪を切るのは半年に一度くらい。

日々の忙しさに追われてなかなか時間が取れないのだ。

両家の顔あわせの時にそんな状況を見かねた日葉里がその場で強引に行きつけの美容院を予約してくれたので、急遽休みを取ったのだ。

美容院は午後から改装工事の打ち合せで伺う工務店に近いので、そのまま向かうことになり、ちょうどよかった。

十センチほど切り揃えた髪は肩より少し下あたりで毛先が艶やかに跳ね、スッキリ整えたのでもともと目鼻立ちがハッキリしている顔がさらに生き生きして見える。

「ありがとうございます。メイクまでしていただいて、すみません」

美月はセットが終わった自身の髪型を確認し頰を緩ませた。

久しぶりにヘアカットをしただけでなく、これから打ち合せがあると聞いた美容師の計らいでメイクもしてもらったのだ。

「色白だからどの色も映えるけど、ピンクがすごくお似合い」

美容師は仕上がりを確認しながら満足そうにうなずいている。

「アイメイクって久しぶり……」

美月は鏡に映る自身の顔をまじまじと見ながら、ぼんやりつぶやいた。

普段はいつもほぼスッピンで、フルメイクは本当に久しぶり。

「自分じゃないみたい」

鏡に映っているのは、淡いピンクが目元を彩り赤いルージュが唇で艶やかに光っている、まるで別人の自分。

髪もキラキラ輝いていて、動く度にサラサラ揺れている。

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