無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
唐突にぶつけられた言葉が理解できず、美月は目を瞬かせた。
「あの」
まだ初対面に近い相手から言われる言葉とは、思えない。
「桜井一尉は知ってるの? 知ってるわけないわよね。自分が命を賭けて空を守っている時に、結婚してしまった相手がそんな派手なメイクで髪を整えて。それも平日の午前中から」
木島はあきれた声で言い放つと、なめるように美月の全身を眺めた。
「桜井一尉がかわいそう。結婚した相手がこんなあざとい女って。子どもまで押しつけられたうえに自分が知らない所で遊び歩いて。ファンの人が知ったらどうなることか」
「押しつけたって、それは……」
まるで蓮人が碧人の子どもではないと信じているようだが、この間顔を合わせた時に誤解したのだろうか。
「あなたの息子、桜井一尉のことパパじゃなく〝サック〟って呼んでたわよね。それを聞いてピンときたのよ」
「それは……」
「ふん。あなたもドルフィンライダーの桜井一尉を追いかけていた他の女の子達と一緒ね。だけど、彼と結婚して子どもの面倒までみてもらえるなんて、うまくやったわね」
「あの、だから違います」
美月はたじろいだ。
この間顔を合わせた時の木島とはまるで別人。
あまりの違いに動揺して理解が追いつかない。
「木島、なに一方的に突っかかってるんだよ。彼女って桜井一尉の奥さんなのか? 怖がらせてどうするんだ」
木島の隣にいる男性が、ピシャリとそう言って木島をたしなめた。
けれど木島は顔をしかめただけで、美月に向かって鼻を鳴らした。
「それもこの女の手なのよ。いいものを見せてあげる」
木島は意味ありげな笑みを浮かべると、首から提げていたカメラを操作し、美月に画面を向けた。
「桜井一尉のラストフライトの時の写真よ。たまたま撮っていた写真にあなたと息子が柵の向こうに映ってるでしょ」
「は……?」