鬱乙女ゲーム世界に転生したので漫才コンビ「悪役令嬢」で婚約解消いたします!
2.それから
「ロゼリア……もしかして、フランシス様が好きなの?」
「え、そりゃ好きに決まってるでしょう」
なんでそんなにこの世の終わりのような顔をするのよ。
今は隣国に向かう馬車の中だ。フランシス様が派遣してくれた護衛さんと一緒に、要人の宿泊用の施設のある場所や馬車の乗換所を点々としながら向かう。この馬車には二人だけだ。
「だって、こんなにまで色々と手配してくれているのよ」
「違うよ……えっと、結婚したいかって聞いてるんだよ」
「なんだ。婚約とか結婚とかはしばらくいいわ」
というか、こんなイロモノの隣国の公爵令嬢なんて迷惑極まりないでしょう。
「で、でもフランシス様ってかっこいいよね」
かっこよさなら、エリク様もプラチナブランドの髪に青い瞳の整った顔で負けず劣らずだったわよね。フランシス様は濃紺の髪と瞳でエリク様より落ち着いた雰囲気がある。実際に話すと軽薄だけど。
「かっこよさなんてどうでもいいわ。それより……本当に一緒についてきてもらってよかったの?」
さすがに婚約解消のために付き合わせたけれど、気が変わって来なくても大丈夫だと伝えてはあった。これからの人生が大きく変わってしまう。フランシス様を介して新たな相方も見つけられないことはないかなと……できればアダムと一緒がよかったけど。
「そんなこと聞かないでよ。ショックだな。僕は弱っちくてさ、兄上ほど優秀でもないしずっと劣等感をもっていた。でも、ロゼリアと一緒にいる時だけ全部忘れられたんだ。めちゃくちゃだったからさ」
私は転生者だ。木登りや虫とりに付き合わせたのは私になる前のロゼリア。でも、記憶はある。見つかっても、アダムのする遊びが面白そうだったからと言って逃げた。迷惑極まりない。アダムは穏やかに過ごすのが好きな子だったのに。
でも、本気で嫌がっていたならロゼリアもやめただろう。すごく楽しかった。互いにたくさん笑い合って大切な時間だったという記憶がある。
「だから頼ってくれて嬉しかったんだ。やっと僕も恩を返せるって。それに……エリク様と結婚しないでくれるんだって」
「ま、あんなバカ王子の婚約者になっちゃったら心配するわよね」
「…………」
なんでそんなに不満そうなのよ。
「え、そりゃ好きに決まってるでしょう」
なんでそんなにこの世の終わりのような顔をするのよ。
今は隣国に向かう馬車の中だ。フランシス様が派遣してくれた護衛さんと一緒に、要人の宿泊用の施設のある場所や馬車の乗換所を点々としながら向かう。この馬車には二人だけだ。
「だって、こんなにまで色々と手配してくれているのよ」
「違うよ……えっと、結婚したいかって聞いてるんだよ」
「なんだ。婚約とか結婚とかはしばらくいいわ」
というか、こんなイロモノの隣国の公爵令嬢なんて迷惑極まりないでしょう。
「で、でもフランシス様ってかっこいいよね」
かっこよさなら、エリク様もプラチナブランドの髪に青い瞳の整った顔で負けず劣らずだったわよね。フランシス様は濃紺の髪と瞳でエリク様より落ち着いた雰囲気がある。実際に話すと軽薄だけど。
「かっこよさなんてどうでもいいわ。それより……本当に一緒についてきてもらってよかったの?」
さすがに婚約解消のために付き合わせたけれど、気が変わって来なくても大丈夫だと伝えてはあった。これからの人生が大きく変わってしまう。フランシス様を介して新たな相方も見つけられないことはないかなと……できればアダムと一緒がよかったけど。
「そんなこと聞かないでよ。ショックだな。僕は弱っちくてさ、兄上ほど優秀でもないしずっと劣等感をもっていた。でも、ロゼリアと一緒にいる時だけ全部忘れられたんだ。めちゃくちゃだったからさ」
私は転生者だ。木登りや虫とりに付き合わせたのは私になる前のロゼリア。でも、記憶はある。見つかっても、アダムのする遊びが面白そうだったからと言って逃げた。迷惑極まりない。アダムは穏やかに過ごすのが好きな子だったのに。
でも、本気で嫌がっていたならロゼリアもやめただろう。すごく楽しかった。互いにたくさん笑い合って大切な時間だったという記憶がある。
「だから頼ってくれて嬉しかったんだ。やっと僕も恩を返せるって。それに……エリク様と結婚しないでくれるんだって」
「ま、あんなバカ王子の婚約者になっちゃったら心配するわよね」
「…………」
なんでそんなに不満そうなのよ。