離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
美鈴は千博の言葉に共感できない代わりに、自分の考えを口にする。
「……私は形に残らないからこそ特別なんだと思う。目に見えなくて、わからないから大切にするんじゃないかな。でないと簡単に消えてなくなってしまうから」
美鈴と千博の間の愛がそうだったように、何かのきっかけであっという間に失われる思いがある。そして、一度失われた思いはそう簡単には戻せない。理屈でないから戻しようがない。
だからこそ、思いを保ち続けたいのならば、互いの心を慈しみ、大切に育て上げていく必要があるのだと思う。
真剣な表情で話を聞く千博に、美鈴はもう少し己の考えを語る。
「それに、たくさんの人に価値を認められなくても、身近な誰かに思いをわかってもらえたら、それで十分なんだと思う。大切なのは知らない誰かの気持ちじゃなくて、目の前にある自分たちの気持ちだから。きっと生きている間に大切な人と思いを分かち合えれば、人はそれで幸せなんだと思う」
遠いどこかの国にいる知らない誰かに敬われるよりも、隣の愛する人に同じ想いを返してもらえる方がずっと幸せだろう。
自分の意見を言い終えた美鈴に、千博は少し切なさを含む微笑みを浮かべ、「美鈴らしいね」と一言だけ答えた。
その言葉を最後に二人の会話はぱたりと止む。
もっと何か話をしたいような気もしたが、これ以上の議論は千博のデリケートな部分に触れてしまいそうでできなかった。
結局、美鈴にできた唯一のことは、こぶし一つ分だけ二人の距離を縮めることだった。
「……私は形に残らないからこそ特別なんだと思う。目に見えなくて、わからないから大切にするんじゃないかな。でないと簡単に消えてなくなってしまうから」
美鈴と千博の間の愛がそうだったように、何かのきっかけであっという間に失われる思いがある。そして、一度失われた思いはそう簡単には戻せない。理屈でないから戻しようがない。
だからこそ、思いを保ち続けたいのならば、互いの心を慈しみ、大切に育て上げていく必要があるのだと思う。
真剣な表情で話を聞く千博に、美鈴はもう少し己の考えを語る。
「それに、たくさんの人に価値を認められなくても、身近な誰かに思いをわかってもらえたら、それで十分なんだと思う。大切なのは知らない誰かの気持ちじゃなくて、目の前にある自分たちの気持ちだから。きっと生きている間に大切な人と思いを分かち合えれば、人はそれで幸せなんだと思う」
遠いどこかの国にいる知らない誰かに敬われるよりも、隣の愛する人に同じ想いを返してもらえる方がずっと幸せだろう。
自分の意見を言い終えた美鈴に、千博は少し切なさを含む微笑みを浮かべ、「美鈴らしいね」と一言だけ答えた。
その言葉を最後に二人の会話はぱたりと止む。
もっと何か話をしたいような気もしたが、これ以上の議論は千博のデリケートな部分に触れてしまいそうでできなかった。
結局、美鈴にできた唯一のことは、こぶし一つ分だけ二人の距離を縮めることだった。