離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
 それからほどなくして自宅に帰り着いた美鈴は、すぐに部屋に入ろうとする千博に声をかけ、その足を止める。

「千博さん。今日はお願い聞いてくれてありがとう」
「いや、別に……これで満足できたのか?」
「うん。十二分に」
「ならまあいいけど……僕のやることに付き合っても大して面白くないだろう? 別に無理に合わせなくていいから」
「えっ?」

 あまりにも美鈴の気持ちとかけ離れた言葉に驚く。美鈴は少しも無理をしていないし、面白くないとも思っていない。それどころか今日はずっと楽しかった。

 その感情は自然と表に出ていたと思うが、千博には伝わっていないようだ。

 楽しくて、嬉しくて、本当に感謝しているのだと伝えたくて、美鈴は満面の笑みを浮かべながら、その心の内を告げる。
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