離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
それから少しの沈黙を挟み、二人のテーブルにそれぞれ注文した飲み物が置かれる。店主が二人の前を離れると、美鈴は頼んだものには口をつけずに自分から本題を切り出した。
「あの、それで夫のことでお話とは何でしょうか?」
千博の話というのが何か気になって落ち着かない。頼んだカフェラテには一切手をつけず、宮下に目を向ける。
けれど、宮下はすぐには答えてくれず、ブレンドコーヒーに口をつけている。美鈴はその様子を緊張した面持ちで見つめる。いったい彼女の口から語られる話は何なのか。
不安を覚えながらも黙って返答を待っていれば、宮下はどこか美鈴を蔑むような表情をしてその口を開く。
「『夫』、ですか……離婚が決まっているのに、まだ妻気取りでいらっしゃるんですね」
「っ!?」
ドクっと大きく脈打つ心臓とは相反して、美鈴の血の気はサーっと引いていく。
なぜこの女性からその話題が出るのか。それは美鈴と千博と、あとはごくわずかの近しい人しか知らない事実。
いや、美鈴に近しくない人で、一人だけ知っている人がいる。千博から離婚のことを聞いたであろうその人物は、ここ最近美鈴に痛みを与え続けている人。千博の新しい相手にほかならない。
だとすれば、今の彼女の表情にも合点がいく。宮下は強い嫌悪の混じった表情を美鈴へ向けている。
「愛されていないくせに、しがみついて醜い」
「っ……」
否定できない事実に何も言い返せない。洋子にすら言えなかったその事実を、宮下は知っているというのか。もしかしたら美鈴がもらえなかった千博からの愛を、この人はもらっているというのだろうか。
そんな相手が千博にできたならばとても喜ばしいことのはずなのに、美鈴の心はそれとは真逆の感情しか抱かない。
女としてとても馬鹿にされているようで悔しくてたまらない。強く言い返したいのに、言い返せるだけの理由が美鈴にはない。
顔をしかめるだけで何も言えない美鈴に、宮下は凍えそうなほど冷たい微笑みを向けてくる。
「あの、それで夫のことでお話とは何でしょうか?」
千博の話というのが何か気になって落ち着かない。頼んだカフェラテには一切手をつけず、宮下に目を向ける。
けれど、宮下はすぐには答えてくれず、ブレンドコーヒーに口をつけている。美鈴はその様子を緊張した面持ちで見つめる。いったい彼女の口から語られる話は何なのか。
不安を覚えながらも黙って返答を待っていれば、宮下はどこか美鈴を蔑むような表情をしてその口を開く。
「『夫』、ですか……離婚が決まっているのに、まだ妻気取りでいらっしゃるんですね」
「っ!?」
ドクっと大きく脈打つ心臓とは相反して、美鈴の血の気はサーっと引いていく。
なぜこの女性からその話題が出るのか。それは美鈴と千博と、あとはごくわずかの近しい人しか知らない事実。
いや、美鈴に近しくない人で、一人だけ知っている人がいる。千博から離婚のことを聞いたであろうその人物は、ここ最近美鈴に痛みを与え続けている人。千博の新しい相手にほかならない。
だとすれば、今の彼女の表情にも合点がいく。宮下は強い嫌悪の混じった表情を美鈴へ向けている。
「愛されていないくせに、しがみついて醜い」
「っ……」
否定できない事実に何も言い返せない。洋子にすら言えなかったその事実を、宮下は知っているというのか。もしかしたら美鈴がもらえなかった千博からの愛を、この人はもらっているというのだろうか。
そんな相手が千博にできたならばとても喜ばしいことのはずなのに、美鈴の心はそれとは真逆の感情しか抱かない。
女としてとても馬鹿にされているようで悔しくてたまらない。強く言い返したいのに、言い返せるだけの理由が美鈴にはない。
顔をしかめるだけで何も言えない美鈴に、宮下は凍えそうなほど冷たい微笑みを向けてくる。