離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「美鈴に惹かれた部分はたくさんあるよ。努力家なところだったり、親切なところだったり、礼儀正しいところだったり。でも、一番強く惹かれたのは美鈴との会話が心地よかったことかな」
「会話?」
予想外の答えに思わず訊き返す。会話が理由で好きになったなんて、他の誰にも言われたことがない。特別話術に長けているわけでもないのに、会話で惹かれるなんてことはあるのだろうかと疑問に思う。
美鈴が不思議そうな表情を見せたのが面白かったのか、千博は少し笑ってから答える。
「そう、会話。自分の知らない話題になっても適当に流しはせず、理解しようとする姿勢にとても好感を持ったんだよ。それもただ聞くばかりじゃなくて、自分の意見もしっかりと言ってくれる。美鈴との会話は自然と弾んでとても心地よかった。この人ともっとたくさん話したいなと思ったんだ」
急にすとんと腑に落ちる。千博が言ったことは、まるきり美鈴が千博に対して思ったことと同じなのだ。決して人の話を適当にあしらったりせず、どんな話題でも広げてくれる千博との会話はとても心地いい。
千博も同じことを感じていたのかと思うと嬉しい気持ちを抑えられなくて胸が熱くなる。
「美鈴とそうして会話をしていくうちに、さっきも言った美鈴の素敵なところがたくさん見えてきてね。笑うときに右目の方がわずかに細くなるところとか、本当においしいものを食べたときは瞬きが多くなるところとか、そんな些細なところまで愛しいと思うようになっていった」
瞳が勝手に潤んでいく。自分でも知らないような些細なところに気づくほど、この人は美鈴のことを見てくれているのだ。好きな人にそこまで自分を知ってもらえて、幸せだと思わずにはいられない。
目に浮かび始めた涙を誤魔化すように千博に頭をもたせ掛けると、美鈴を抱き寄せる腕の力が少し強くなった。
「気づけば美鈴を作り上げているすべてに惹かれていた。だから、美鈴を好きになったのは『それが美鈴だったから』なんだよ。これで答えになっているかな?」
千博の言葉に何度も頷く。嬉しくて嬉しくてたまらない。けれど、同時にとてつもない切なさも感じてしまった。
なぜなら千博が語った答えもすべて、千博が作り出した嘘かもしれないと思ってしまったのだから。
「会話?」
予想外の答えに思わず訊き返す。会話が理由で好きになったなんて、他の誰にも言われたことがない。特別話術に長けているわけでもないのに、会話で惹かれるなんてことはあるのだろうかと疑問に思う。
美鈴が不思議そうな表情を見せたのが面白かったのか、千博は少し笑ってから答える。
「そう、会話。自分の知らない話題になっても適当に流しはせず、理解しようとする姿勢にとても好感を持ったんだよ。それもただ聞くばかりじゃなくて、自分の意見もしっかりと言ってくれる。美鈴との会話は自然と弾んでとても心地よかった。この人ともっとたくさん話したいなと思ったんだ」
急にすとんと腑に落ちる。千博が言ったことは、まるきり美鈴が千博に対して思ったことと同じなのだ。決して人の話を適当にあしらったりせず、どんな話題でも広げてくれる千博との会話はとても心地いい。
千博も同じことを感じていたのかと思うと嬉しい気持ちを抑えられなくて胸が熱くなる。
「美鈴とそうして会話をしていくうちに、さっきも言った美鈴の素敵なところがたくさん見えてきてね。笑うときに右目の方がわずかに細くなるところとか、本当においしいものを食べたときは瞬きが多くなるところとか、そんな些細なところまで愛しいと思うようになっていった」
瞳が勝手に潤んでいく。自分でも知らないような些細なところに気づくほど、この人は美鈴のことを見てくれているのだ。好きな人にそこまで自分を知ってもらえて、幸せだと思わずにはいられない。
目に浮かび始めた涙を誤魔化すように千博に頭をもたせ掛けると、美鈴を抱き寄せる腕の力が少し強くなった。
「気づけば美鈴を作り上げているすべてに惹かれていた。だから、美鈴を好きになったのは『それが美鈴だったから』なんだよ。これで答えになっているかな?」
千博の言葉に何度も頷く。嬉しくて嬉しくてたまらない。けれど、同時にとてつもない切なさも感じてしまった。
なぜなら千博が語った答えもすべて、千博が作り出した嘘かもしれないと思ってしまったのだから。