離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「美鈴との時間、たくさん持てなくてごめんな」

 その謝罪の言葉に対し、はっきりと否定の言葉を返す。

「ううん、そんなことない。十分すぎるくらい時間作ってくれてるから。むしろ千博さんが自分の時間を持てなくなってしまうんじゃないかって心配なくらい。私は日中自由に過ごしてるんだし、千博さんも自分の時間も大事にしてね」

 千博は美鈴には自由に過ごさせる一方で、自分の自由な時間はほとんど美鈴に当ててくれている。

 意識的に美鈴との時間を持つようにしてくれているし、何か一人でやっていたとしても、実は美鈴のためにあれこれ動いてくれていたのだと後になってわかることがままある。大事にされすぎて、こちらが申し訳なくなってしまいそうなくらいだ。

「ありがとう、美鈴。美鈴と結婚できて、僕は本当に幸せ者だよ。ちゃんと自分に必要な時間は取れているから心配しないで。美鈴も知っての通り、器用な質だから大丈夫。それに僕にとっては美鈴と過ごす時間が何よりも大切だからね。そこだけは死守しないと」

 千博の真っ直ぐな視線が彼の言葉が真実であると物語っている。今の形が千博の望むものなのだと。

 ここまで言われてしまえば、申し訳なさよりも嬉しい気持ちが勝る。

「そう言ってくれて嬉しい。私こそ幸せ者ね。こんなに大切にしてもらって、毎日本当に幸せ」

 微笑み合えば温かな空気に包まれる。尖ったところなどどこにもない。丸みを帯びてやわらかな空気だ。

 そんな空気を作り出せる二人なら、たとえこの先何があったとしても、互いを尊重し合い、前を向いて生きていけるだろう。美鈴はそう思えた
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