はるけき きみに  ー 彼方より -
「申し訳ない気がするわ」
 京都へ向かう道中で、
「予想していたけど、こうまでとはね」

 道行く人がマシューを見て目を丸めているのだ。
 外国船が立ち寄る堺と違って、内陸の人はその容姿が珍しいらしい。

「いいさ、こうなったら見せものにでもなんでもなってやるよ」
「見せものって、そんなこと」

「こっちはこっちで日本の街道を、京の街をじっくり見せてもらうとするさ」
 気にも留めず愉快げに笑っている。

 だが紫音は違うものも感じていた。
 マシューに対する女たちの視線だ。
 
 彼女らはえっと驚いて二度見する。
 やがてその頬があかく染まってくる。
 
 精悍でありながら甘さを秘めた眼差し、すっと通った鼻梁、引き締まった唇。
 見慣れていたそれを改めて思った。

 だが当の本人はそんなことには無頓着だった。

 マシューが見ているのは胡散臭げな旅人であり、刀の鯉口に手をやるかに見える侍の動きだ。

 そうしてさりげなく紫音を守っていた。


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