はるけき きみに  ー 彼方より -
 寺男が朝食を運んでくる。
 それを終えた頃、昨日迎えてくれた宋念がやって来た。

「夕べお話を伺ったとおり、ご持参のお手紙を信安住職にお見せいたしましょう。ただ・・」
「ただ?」

「信安様はお年を召されてすこし、その、少々気がかりな面もございますのですが」
 言い淀む。
 そのとき小坊主に連れられた信安が来た。

「おお、おおこれは紫音様、よくおいでくださいました。息災でいらっしゃいましたか」
「はい、ご無沙汰しております」

 対座してから、
「これはまた美しいお嬢様になられましたな。小さい頃から目を見張る可愛さでございましたが、まるで極楽の天女が舞い降りてきたような心地がいたします」

 驚くほど間近で覗き込む。
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