はるけき きみに ー 彼方より -
紫音は姿勢を正してから、
「実は、父が生前信安様にあてた手紙があるのです。それを開封していただきたいと持参いたしました」
と封書を出した。
信安が受け取り開封する。
折りたたんだそれを読み進めて、
「本当にあれはお気の毒なことでございました」
思い出すように言った。
「・・お気の、どくな?」
「そうです。香苗さまにとってはまさに悪夢、取り返しが出来ない事態となってしまったのですから」
言いながら文を床に落とした。
置いたのではなく手からポトリと離した、そんな感じだった。
その所作が目についたのか、宋念が拾って読んでいる。
「香苗さまは嫁ぎ先の堺から実家である小田切家に帰ってこられたのです。ええ、ご出産のためでした。それで玉のような女の子が生まれたのですが・・」
紫音が目を見張った。
その子は自分だと思った。
「実は、父が生前信安様にあてた手紙があるのです。それを開封していただきたいと持参いたしました」
と封書を出した。
信安が受け取り開封する。
折りたたんだそれを読み進めて、
「本当にあれはお気の毒なことでございました」
思い出すように言った。
「・・お気の、どくな?」
「そうです。香苗さまにとってはまさに悪夢、取り返しが出来ない事態となってしまったのですから」
言いながら文を床に落とした。
置いたのではなく手からポトリと離した、そんな感じだった。
その所作が目についたのか、宋念が拾って読んでいる。
「香苗さまは嫁ぎ先の堺から実家である小田切家に帰ってこられたのです。ええ、ご出産のためでした。それで玉のような女の子が生まれたのですが・・」
紫音が目を見張った。
その子は自分だと思った。