はるけき きみに  ー 彼方より -
 手紙は挨拶文から始まっていた。

 その中盤に、
【我が娘、紫音は断じて私の子であります】
 目を引く件があった。

【例の一件は香苗の思い過ごしでございます。そこのところをお汲み取り下されたく、切にお願い申す次第でございます。それゆえ貴院の檀家の方にも思慮ある行動を願いたく・・】

「え?」
 紫音の手から、手紙がすべり落ちた。

 それを見ても信安はなお、
「いえいえ、それだけではないのです。実の父上ではないかという人、その方の素性が問題でございまして・・」

 追い打ちをかけた。
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