はるけき きみに  ー 彼方より -
京での出来事 その2
 紫音の体が揺れた。
 座したそれが細かく波打っている。
 震えているのだとわかった。

「部外者で申し訳ないのですが・・」
 マシューが背後からいった。

 宋念が目を丸める。
 見るからに異人である彼が流ちょうな日本語を話したからだ。

「お話が意外に長くなっているのでは、と思います。ここでいったん休憩を入れて、それからまたという事ではいかがでしょうか」

 彼の目に意味がこもっている。それを察して、

「ごもっともでございます。信安様、向こうの座敷に茶の用意をさせましょう。一服されてまたお話を聞かせてくださいませ」

 宋念が小坊主に合図をする。
 彼に連れられて信安が部屋を出ていった。

「どうも、住職はお年を召されて最近・・いや、その、なんと言いますか」

 言葉を選ぼうとしたとき、紫音が、
「宋念さま、この上はすべてのお話を聞きたいと思います。当の本人がなにも知らないというのはおかしなことだと思います。どうか包み隠さずお話しくださいませ」

「さようでございますか。そうでございますね。では、私が知っている限りのことをお話いたしましょう。どうぞお気を確かにお聞きください」
「はい」
















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