はるけき きみに  ー 彼方より -
「それについては・・」
 マシューだった。
「日本ではおおやけには存在してないかもしれません。ですが外国では有り得るのです。南洋の地域でそんな薬が作られている、そう耳にしたことがあります」
「すると、南蛮との取り引きで手に入れたという事でしょうか」
 
「おそらくそうではないかと。友人にそんな南洋の人間がいて、彼なら何かを知っているかもしれません。だが外国船に乗ることになって、ここには来ていないのです」

 紫音が顔を上げた、サジットのことだと思った。

「さようでございますか。世界は広いのですね。いや、感慨深いものを感じます。あなたのように外国からおいでになった方にこうして異国のことをうかがうことになろうとは」

 と言って何度かうなずいた。
 そして、

「私が知るところはこのあたりまででございます」
 紫音に向いた。

「なにかとお気に障ることがあったと思います。その場合はご容赦いただきたく、どうぞよろしくお願いしたいと存じます」
「いえ、お話しくださったことに感謝いたします。ありがとうございました」

 宋念は数珠を繰って頭を下げ、紫音は合掌して礼を言った。

 こうして宋念の長い話が終った。
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