はるけき きみに  ー 彼方より -
「お疲れさま。大変だったわね」
 帰ってきたマシューとサジットを紫音が迎える。

 二人はまたもや大量の食料を持っていた。
 通訳の報酬とは別にあれこれをクレイプに請求したのだ。

 彼は渋っていた。
 だが今日の利益は莫大なものだ、本当の商品価値を知っているマシューに否とは言えなかった。

「これがあと何日も続くのかしら」
 明日も出かけるというマシューに聞いた。
「そうだね、明後日ごろにはあらかたの取り引きが終わると思うよ」

 船倉にはまだ商品が積まれている。
 だがクレイプはそのすべてを堺でさばこうとは思っていない。
 まだ立ち寄れそうな他の港を知っているからだ。

「あのオランダ船は取り引きが終わりしだい出航するよ。折れたマストの修理も出来たそうだからね」
「え?」

「そのあとは他の港に寄って、それから日本を出て外国へ向かう。今度は商品を仕入れるためにだ、唐とかジャカルタとかへ行くんだろうな」
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