はるけき きみに  ー 彼方より -
 うつむいた彼女にマシューが言った。

「来るかい、いっしょに。そうして世界を回ってみるかい」
「・・え」

 途方もない言葉に思えた。

 前にそんなことを言われたことはある。
 そのときは夢物語のように感じていた。

 だが今は・・。
 マシューの後ろ姿が見えていた。
 それを感じて何かが湧き上がってくる。

 離れたくない。

 痛いほどのそんな感情が、胸の奥から湧き上がっていた。

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