クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
「俺は、この見合いを進めてこのまま結婚するつもりだ」

これはまたもや思わぬ展開だ。
断られる可能性も考えていたから、結婚を進めたい私には好都合すぎる。
それにしても、全く結婚の話をしているとは思えない雰囲気だ。

「俺は結婚という措置そのものと、文月の名がほしい。そして大慈は十分な財力を持っていて、祖父の会社の顔効きで文月に必要な企業の斡旋もできる。 この意味が分かるか?」

そ、措置って、今この人、結婚を措置って言った?

彼が文月の名前を欲することは理解できる。
戦後、当時の文月家当主を始めとした先祖は率先して戦地に赴き、自分たちの持つ医療の知識を持て余すことなく軍人たちの治療に貢献した。
功績が称えられ、その頃から文月は名前を変えながらも大手の医療機器メーカーとして業界に名を連ねているのだ。

そんな文月の危機を救うという名誉と引き換えに、うちを援助するということも。
このお見合いは政略結婚を見据えたものだから。

だけど、借りにも妻になるという相手に向かって結婚は措置って、そんなにはっきり言う?

「…あなたの言っていることは分かります。これは両家…いえ、文月にとっては特に重要な縁談ですから。ですが、その言い方は無いんじゃないですか」

大慈さんはピクリと片眉を上げ、訝しげにこちらを見る。
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