クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
内見を終えた帰りは瑛輔が車で送ってくれることになった。
マンション近くのUTUMI警備保障の事務所に車を置いていたらしい。用意周到だ。
助手席に乗せてもらい、運転する瑛輔の横顔をそっと盗み見る。
こうして見ると本当に綺麗な顔をしているのだ。移ろう街の灯りに照らされて色気が増しているような気さえする。
これは、周りの女の子が放って置かないだろうな。
そもそも瑛輔には好きな人とかいなかったのだろうか。結婚はご両親からの条件だから、もし恋人がいてもその人と結婚できる状況では無いけれど。
今はなくても、この先もし彼に好きな人ができて彼が望んだらその時は、離婚して、彼を解放しよう。それができるのは私だけだ。その時に瑛輔がUTUMI警備保障を継いでいれば問題はないし、その形なら文月にも悪い影響は起こりにくい。
「凜」
もしもの未来に考えを巡らせていた私は瑛輔の声にはっと意識が戻る。
「なに、瑛輔」
「おまえのご両親にきちんと挨拶がしたい。結婚まで時間も無いしうちの両親は式の時でいいと言ったが、凜の方はそうもいかないだろ」
「両親はそれでいいって納得してるわ。瑛輔が忙しいのも理解しているはずだし」
「大事なひとり娘の嫁入りだぞ。祖父どうしが知り合いとはいえ、俺なら会ったこともない男に娘をやりたくはない」